今年のGW、来年の北壁の下見も兼ねて鹿島槍天狗尾根を予定していたが、5/3夜から4にかけて荒天の予報。20mを超えるような風速でさすがに稜線テント泊は危ないってことで転進することに。メンバーはさがみ山友会のK谷さんとU島の2名。

河童橋から望む岳沢方面
行き先は昨年9月に登った奥穂高岳南稜。ルートは岳沢で幕営、南稜を登り、吊尾根から前穂、そして奥明神沢下降。撤収して上高地、帰宅という流れ。
前夜、相模湖駅でK谷さんをピックアップし、中央道へ。松本ICで降り、R158を上高地方面へしばらく走った某所で仮眠。ジムニーの車中泊は地獄なのでテントです。
3日はただの移動日だったので5:40頃のバスで6時過ぎに上高地入り。上高地から岳沢小屋までの最後の1時間ほどは雪渓の上を歩くがアイゼンやチェーンスパイクは要らず快適に歩けた。

岳沢に降りる樹林帯からみる西穂方面。黒と白のコントラストが綺麗です。

岳沢への最後の40分はずっと雪渓の上
テント設営後、南稜取り付きに偵察へ。ゴロゴロの岩だらけだった岳沢(滝沢)も雪の厚塗りファンデーションでまっしろ美白肌でめちゃくちゃ歩きやすい(笑
当然ながら、南稜取り付きも去年9月とは景色がまったく違う。柱状節理が見事だった滝はほぼ埋まっており、下部のガレガレのスラブも雪の中。見上げると上の雪面も繋がっているのでかなり歩きやすそう。

奥穂南稜取り付き。滝の下部は完全に雪の下
テントに戻ってきて(一応)12時過ぎてからビールで乾杯。いくつか天気予報を確認すると明日(日曜日)、北ア南部も天候がパッとしない。未明から午前中は暴風が続くそうで・・。天候回復を待ってから南稜に登ると上高地から出るバス・タクシーの時間に間に合わなさそうということに。5日に予定があり帰宅する必要があったため、3時に起きて様子見、回復が予想通りに遅れそうな場合は南稜は諦め、奥明神沢を登り、前穂に上がってお茶を濁そうということに。
そうとなれば18時の就寝までやることがないのでは宴会タイムということで。有り難いことに酒を担がなくていい岳沢、黒霧島の熱燗はなかなかのパンチ力だった。
19時前には就寝。夜中、猛烈なみぞれがテントを叩く音で何度か目が覚める。
予定通り3時に起きるも外は暴風とみぞれ。テントから外を覗くと真っ白で対岸すら見えない状況。4時まで待っても回復傾向にならなければ転進しましょうということになった。まあ、それで天候が回復するほと山の天気は甘くなく、、4時になっても暴風具合は変わらずでみぞれの勢いが少しマシになったかな、という程度。ここで奥穂南稜は中止決定。
奥明神沢ーダイレクトルンゼの前穂は往復で5時間程度なので7時に出発することにしてテントでゴロゴロ。時折雨に変わったりみぞれになったりと天候は相変わらず悪い。
7時、奥明神沢を登り始める。奥明神沢はいくつか分岐があり、代表的なのは2700mくらいにある”前穂ダイレクトルンゼ”と呼ばれる前穂に突き上げるルンゼと奥明神のコルに向かう分岐。我々はその分岐を左に行き、前穂に行く予定だったが上方がガスっており気付いたら少し手前の明神岳にダイレクトに突き上げる沢に入ってた。前方がクリアで斜度もゆるやかなら間違えようがないのだが、いかんせん50度くらいの斜度、ずっと上を向いて登るわけにもいかず吸い込まれるように明神岳へ。ちょっと登ったところで気付いたが降りるのも面倒だし、このまま明神に行きましょうということで目的地変更。

奥明神沢から下を望む。
ルンゼを見上げると先が分からない岩壁があり、処理に困りそうだったので雪渓をトラバースし隣の尾根に上がる。これがまた大変で岩登りとハイマツの藪漕ぎが交互に現れる感じ。そうこうしているうちに明神に向かうトレースに突き当たった。しばらく稜線を進み、恐らく明神山頂からの下降ルートと思わしき所を無理矢理に這い上がりピークに立った。明神ピークに10:45。ピークは中々の寒さと風で早々に降りる。クライムダウン出来る箇所はクライムダウン、奥明神のコルに降りる所だけロープを出して懸垂下降で降りたが、降りてしまえばクライムダウン可能であった。

間違って入った沢から隣の尾根へとトラバース。ハイマツの藪漕ぎは中々の苦行

恐らく明神岳の下降ルート。上には懸垂用と思われるスリング

明神岳ピーク。後に見えるのは前穂。K谷さんの後、前穂ダイレクトルンゼを登る登山者が3名
奥明神のコルから下山開始。コルで前穂いきます?って話になったが双方とも「もうええでしょう!」ってことで雪渓を下りはじめた。
急傾斜だが日光が当たってることもあり、クライムダウンするほどではなく、前向きで降りられる。あっという間に前穂ダイレクトルンゼとの分岐点に着く。その先からはシリセードで下降。中間点くらいでハーネスを外しシリセード速度もあがり、40分ほどで岳沢まで降りた。オーバーパンツのベンチレーションが開いたままシリセードしてしまい慌てて閉じたがしばらくはお尻がひんやり・・。
休憩後、パッキングし上高地BTに着いたのは15:40頃。余裕の帰還でした。
激込みのバス乗り場でテント場で隣だったソロの方と出会い、タクシー相乗りで優雅に沢渡バスターミナルへ。
島々にある「竜島温泉 せせらぎの湯」で風呂に入った。アルカリ性単純温泉でお肌つるつる。身体を清めた後、松本IC近くの」レストラン 十字路で」タンパク室を補給し帰宅の途へ。
今回はジムニーということもあり、当然ながらハンドル補助や自動ブレーキもなく、なんならATでもなくMT。中央道の渋滞が何時始まるか冷や冷やしながら帰ったが談合坂SAまでは快適な旅だった。相模湖駅でK谷さんを降ろし、圏央道が出来て以来ほとんど通ってなかったR412で厚木へ。22:45帰宅。
文:U島