レスキュー訓練@鷹取 (2024/12/15)

高みを目指して難しい登山やクライミングにチャレンジするのは活動の場を山や岩場とする者にとって当然の帰結です。しかし、難易度が上がればリスクの数も増え、リスク一つの重篤度も上がります。

登山やクライミングというものは登れば終わりではなく、そこには下山や下降があり、無事に帰宅するまでが登山でありクライミングです。

事前のリスクマネジメントで重大なリスクを避けるのが最も重要ではありますが、許容できると思っていたリスクが別の要因でそうじゃなくなった場合など、現場で対応する必要が出てくることがあります。

雪童山の会でも年に数回、登山中・クライミング中のリスクに対応できるようなトレーニングを行っています。今回はクライミング中のリスクに対応するためのレスキュートレーニングを鷹取の岩場で実施しました。

ビレイ中、または懸垂中の仮固定

仮固定は時期や教えた人によって方法が異なりますが、確実やり方をしっかり覚えることが大事です。

仮固定→フリクションノット→テンションロープから荷重解除のためのマリナーヒッチ

  1. 下降中、ビレイ中に両手をフリーにするための仮固定方法
  2. ビレイ器からロープ、ロープから支点へといった荷重を移動する方法

上記方法を組みわせたシチュエーショントレーニングとして、

a. 傷病者をヘリや救助隊がピックアップ可能な場所へ下ろす
b. リードクライマーが登っている最中に落石等で動けなくなった場合のビレイヤーの脱出
c. 上部テラスでビレイ中、セカンドクライマーが怪我で動けなくなった場合の救助

を実施しました。1と2の方法は全ての基本となるため、左右を変えたり、片手が動かない、ヘッデンの電池が切れて真っ暗で何も見えないなど状況を変えつつ納得が行くまで反復練習します。

a ~ c のシチュエーショントレーニングは必要なギアやロープワークが異なりますが、全てを持っているとは限らないため、絶対に安全を確保する必要がある箇所、外れてもなんとかなる箇所などを判断し、パーティで持っているギアや技術を適用する必要があります。また、CLは事前にどこまでのリスクに対応するのかを検討した上で装備リストを作ります。

セカンドの救助。傍観者目線。負傷者にアプローチするために準備中

足も負傷した場合のイメージ

皆、お昼ごはんもそこそこに真剣に取り組み、気づいたらえ?もうこんな時間?ということで8時半から16時まで各自課題に向き合った一日でした。追浜駅で解散後、反省会で入った焼き鳥屋のビールとレバーが美味かった!

今回の参加者(K緑、U島、S原、K森、S藤)

雪童山の会ではこれ以外にも雪山での雪洞訓練や雪崩に遭遇した場合のいわゆるアバサー(Avalanche Search And Rescue)なども定期的に開催しています。

文:U島